メンテナンスについて

メンテナンスの必要性と効果

アルミニウム建材は耐食性、耐候性に優れています。しかし、立地条件や四季折々の気候の変化など厳しい環境条件にあり、そのようなところで長期間大気にさらされている間に、表面に付着した汚れをそのまま放置されると点状の腐食を起こすことがあります。
特に工場地帯や、海岸からまともに風を受ける建物、また同じ建物でも雨による自然の洗浄がされにくい見え隠れ部分、例えば軒天井などは腐食の起こりやすいところです。
したがって、アルミニウム建材を汚れや腐食から守り、竣工時の美観を保つためには、メンテナンス(清掃など)を定期的に行う必要があります。
アルミニウム建材の表面の汚れが軽いうちに清掃するようにすれば、清掃も簡単で費用も少なくてすみます。
しかし、長期間清掃しないで放置しておきますと、表面に付着した汚れが腐食へ進行します。こうなると、清掃しただけではきれいにならず、補修の必要が出てくることもあり、費用も多くかかります。
清掃の頻度は、汚れの程度および立地条件により下表を参考にしてください。清掃の時期は、暖房シーズンの終わる初夏および台風シーズンの終わる秋頃が清掃の効果および作業環境から適当と考えられます。

建物の立地条件と清掃の頻度
立地条件 清掃回数
臨海工業地帯 1〜2回/年
海岸・工業地帯 1回/年
市街地 0.5〜1回/年
田園地帯 0.5回/年

表面の汚染、劣化状況とメンテナンス区分

各々の表面処理仕様についての表面劣化状況とメンテナンス区分、さらに、汚れの程度と清掃方法について以下の表に示します。

表面の汚染、劣化状況とメンテナンス区分
  劣化状況 複合皮膜・塗膜
内容 メンテナンス仕様

付着物 水洗いや食器用中性洗剤などで除去可能なもの A
固着物 研磨剤入り洗浄剤によって除去可能なもの C・D
  光沢低下 水洗い後、表面の光沢が著しく低下している状態 C・D

白化 クリヤ塗膜が白く変化した現象 C・D
黄変 皮膜または塗膜が黄色・褐色に変化したもの C・D
  チョーキング 表面が白く変化し、離別しやすい粉状になる現象 D
  フクレ 塗膜の一部が下地から離れて浮き上がる状態 D
  ヒビ割れ 塗膜に割れができる現象 D
  ハクリ 塗膜が付着力を失って皮膜から離れる現象 D
  点 食 点状に発生している腐食 D

※R.N.(レイティングナンバ−)は、腐食の程度を表わした数値。R.N.10を無欠陥として、数字が小さくなるほど腐食の程度は悪く、腐食面積率に換算するとR.N.9は0.07%を超え0.01%以下。

メンテナンス仕様の内容
仕様 使用材料 作 業 方 法
A 洗浄剤
(食器用中性洗剤、エチルアルコール)
@布に水または温水を浸し、汚れを拭きとる。
 落ちにくい汚れには食器用中性洗剤やアルコールなどを用いて除去する。
B 研磨剤入り洗浄剤
有機溶剤(シンナー、アセトン)
ナイロンたわし
@A仕様で除去できない固着物は、ナイロンたわしに洗浄剤を含ませ、
 部材のロールの方向・押出し方向を確認し、筋目に沿って軽く研磨する。
A研磨後、布に塗料用シンナーまたはアセトンなどの溶剤を浸し、
 油脂分などを除去する。
B次いで、布で表面をよく拭きとる。
C クリヤ塗料 @A、B仕様を実施。
A必要に応じてマスキングを実施する。
Bクリヤ塗料を刷毛またはスプレー塗装法により実施する。
D エナメル塗料
(必要に応じて:パテ、プライマー塗料)
@A、B仕様を実施。
A必要に応じてマスキングを実施する。
B表面に凹凸が認められる場合は、仕上げ塗装前にパテ付けを行い、
 硬化後に研磨し、よく清掃してから塗装する。
C仕上げ塗装の付着性が問題視される場合は、塗装前にプライマー
 塗装を行う。
Dクリヤ塗装のC仕様で処置できないと予想される表面状況に
 対して行う仕様で、調色したエナメル塗料を刷毛またはスプレー
 塗装法により実施する。